湯河原町議会基本条例

湯河原町議会基本条例

制定:平成18年12月12日 条例第31号

 議会は、町民主権を基礎とし、町民の信託を受けて活動する町民の代表機関であり、議事機関である。議会は、二元代表制の下で、執行機関たる町長及び各種委員会を監視するとともに、条例の制定、予算の議決等を通じて政策を形成する権限と責任を有している。

 地方分権の時代を迎え、地域の自立が求められるとともに、少子高齢化、安全安心の確保、地域産業の振興など地域社会の課題が山積している。議会は、これらの課題に取り組み、自立したまちづくりを進める責任を負っており、この責任はますます重くなっている。

 議会及びすべての議員は、町民の信託にこたえるため、高い使命感を持って職務に取り組み、町民とともに汗を流す町民協働の議会運営を行うとともに、活力ある地域づくりを進めることを誓約して、この基本条例を制定する。

(目的)
第1条 この条例は、議会の運営及び議員の活動に関する基本的事項を定めることにより、議会が町民から期待された政策形成及び行政監視の役割を果たすとともに、町民とともに汗を流す町民協働の運営を進め、もって活力ある地域づくりと町民の福祉向上に資することを目的とする。

(議会の使命)
第2条 議会は、町民を代表する議事機関として、町長その他の執行機関(以下「町長等」という。)の活動を監視するとともに、自ら活力ある地域づくりのために必要な政策を立案して決定し、及び推進しなければならない。

2 議会は、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)その他の法律で定める活動を誠実に実施するほか、前項に定める役割を果たすために必要な活動に積極的に取り組まなければならない。

3 議会は、前項の活動に当たっては、町民に必要な情報を提供し、その多様な意見を反映させるとともに、町民とともにまちづくりの活動を進める町民参加と町民協働の議会運営に努めなければならない。

(議会の運営原則)
第3条 議会は、必要な政策を自ら立案して決定し、又は執行機関を通じて提案して実施させることにより、政策中心の運営を行うものとする。

2 議会は、町民の多様な意見を把握して町政に反映させるとともに、町民と一緒にまちづくりの活動に取り組むことにより、町民参加と町民協働の運営を行うものとする。

3 議会は、町民が自由に議会を傍聴し、又は広報等を通じて必要な情報を得ることができるようにするとともに、町民に対して議会の議決又は運営についてその経緯、理由等を説明する説明責任を果たすことにより、透明性と応答性のある運営を行うものとする。

(議員の責務)
第4条 議員は、政策中心の議会運営を進めるため、不断に必要な能力を磨き、必要な情報を収集して、政策提案その他の政策活動を進めなければならない。

2 議員は、町民参加と町民協働の議会運営を進めるため、町民に必要な情報を提供し、その意見を的確に酌み取って議員活動に反映させるとともに、町民とともにまちづくりの活動に積極的に参加し、これを推進しなければならない。

3 議員は、議会が言論の府であることを認識し、議員間の自由な討議を尊重するとともに、会議における発言は簡明に行い、議題及び許可された趣旨の範囲を超えないようにしなければならない。

4 議員は、自らが町民の選良であることを認識し、町民の代表にふさわしい活動を行うよう努めなければならない。

(町長等と議会及び議員の関係)
第5条 議会の本会議における議員と町長等(当該執行機関の職員を含む。次項及び第9条第1項において同じ。)との質疑応答は、広く町政上の論点又は争点を明確にするため、一問一答方式で行う。

2 議長から本会議又は常任委員会若しくは特別委員会への出席を要請された町長等は、議員の質問及び質疑に対して、議長又は委員長の許可を得て、答弁に必要な範囲内で反問することができる。

(重要政策の審議等)
第6条 町長等は、総合計画、公共事業計画その他重要な政策を決定しようとするときは、あらかじめ議会又は議員の意見を聴くよう努めなければならない。

2 町長等は、議会の議決を得るべき政策案を提案し、又は前項の規定に基づいて意見を聴こうとするときは、次に掲げる事項を明らかにしなければならない。

(1)当該政策を必要とする原因又は背景
(2)当該政策案以外の代替案の内容(代替案を検討した場合に限る。)
(3)他の自治体の類似する政策の状況及び当該政策との比較検討の結果
(4)政策決定に係る町民参加の実施状況とその内容(実施予定を含む。)
(5)政策案の策定に関して参考にした情報
(6)総合計画上の根拠又は位置付け
(7)当該政策の実施に必要な財政措置(職員等の人件費を含む。)の見込み
(8)その他当該政策の決定に当たり必要と認められる情報

3 議会は、町長が政策案を議案として提案し、又は意見を聴くために提示したときは、当該政策の必要性、当該政策案の妥当性(代替案との比較検討の結果を含む。)、当該政策案に係る費用対効果その他必要な事項について検討し、議決又は意見に反映させるよう努めなければならない。

4 議会は、町長等が行う政策について、不断に点検するとともに、一定の期間、方法等によってその有効性、効率性等について評価するよう努めなければならない。

5 議会は、前2項の規定による審議に当たっては、事前に町民の意見を聴くよう努めるとともに、議決又は意見を決定したときは、その結果及び審議の経過に関する情報を公表し、町民に説明するよう努めなければならない。

6 議会は、前項の規定による公表又は説明を行うため、広報紙の発行、ホームページの開設、議会報告会の開催等の必要な措置を講じるものとする。

(コミュニティの活動の支援)
第7条 議会は、コミュニティ(居住地を単位とした自治会、テーマ別に活動しているボランティア団体等をいう。以下同じ。)の自主性及び自立性に配慮するとともに、コミュニティの活動の推進に必要な情報提供その他の支援に努めるものとする。

(議会の議決事件)
第8条 法第96条第2項に規定する議会の議決事件は、次のとおりとする。

(1)湯河原町自治基本条例(平成18年湯河原町条例第27号)第13条に規定する基本構想及び基本計画に関すること。
(2)法第221条第3項の法人に対する出資及び町が出資することにより当該法人が同項の法人となる当該出資に関すること。

(議会における自由討議の拡大)
第9条 議会は、議員による討議の場であることを認識し、町長等に対する出席要請を必要最小限にとどめるとともに、議員間の十分な討議によって合意が形成されるよう努めなければならない。

2 議員は、議員間の討議については、町長等の意見若しくは方針又は政党若しくは会派の意見若しくは方針に過度にとらわれることなく、自由な討議を基本として審議を行うよう努めなければならない。

(広域政策への取組)
第10条 議会は、隣接市町と共通する課題の解決を図るため、互いに連携し、広域政策への取組の強化に努めなければならない。

(会派の活動)
第11条 議会の会派(以下「会派」という。)は、基本的な政策又は政策の理念を共有する議員集団として、地域の実情と町民の意見に基づいて、活力ある地域づくりと町民福祉の向上を図るための政策の形成に積極的に取り組むよう努めなければならない。

2 会派は、各議員が町民の信託を受けて選ばれたことを認識し、各議員の選挙公約又は政策に関する意見を尊重するとともに、政策の是非等を検討する場合には議員間の合意形成を図るよう努めなければならない。

(会議の開催)
第12条 議会の会議は、定刻に開催するものとする。

2 議会は、会議を休憩する場合には、その理由及び再開の時刻を傍聴者に説明するよう努めるものとする。

(議員の懲罰)
第13条 議会は、法の規定に基づいて議員に懲罰を科そうとするときは、各議員が町民の信託を受けて選ばれていること及び議会が町民主権を基礎としていることを踏まえて、慎重に判断するものとする。

(議会の組織)
第14条 議会は、社会経済の変化等により新たに生じる課題に迅速かつ柔軟に対応するため、委員会の設置その他必要な措置を講じるよう努めなければならない。

2 議会は、法で定める委員会等のほか、町政の諸課題に柔軟に対応するため、町政全般にわたって、議員及び町民が自由に情報及び意見を交換する一般会議を置くことができる。

(議会の事務局等)
第15条 議会は、議会又は議員の政策形成等の活動を支援するため、議会事務局の調査機能等の体制を強化するよう努めなければならない。

2 町長等は、議会又は議員の政策形成等の活動を支援するため、財政措置、情報提供その他必要な措置を講じるよう努めなければならない。

(議員の研修)
第16条 議会は、議員の政策形成能力の向上等を図るため、議員研修の充実及び強化を図るとともに、議員の研修への参加を促進するよう努めなければならない。

2 議会は、議員の政策形成能力の向上等を図るため、町民等を含む研究会の開催、学識経験者の助言、他の自治体等に対する調査その他の政策研究の機会を積極的に設けるよう努めなければならない。

3 町長等は、前2項の規定による研修、研究等の実施に協力するよう努めなければならない。

(議員の定数及び議員報酬)
第17条 議員の定数及び議員報酬は、別に条例で定める。

2 議員定数の改正に当たっては、経費削減の視点だけでなく、町政の課題及び将来展望、町民の多様な意見の反映等の視点を十分に考慮するとともに、町民等を含む第三者機関による議員活動の客観的な評価等を参考にしなければならない。

3 議員の定数に関する条例改正は、議員が提案し、その理由について説明責任を果たさなければならない。

4 議員報酬の改正に当たっては、経費削減の視点だけでなく、町政の課題及び将来展望、議員に求められる役割、責務等を十分に考慮するとともに、町民等を含む第三者機関による議員活動の客観的な評価等を参考にしなければならない。

(この条例の性格等)
第18条 この条例は、議会運営に関する最高規範であって、議会は、この条例で定める目的、原則等を実現するために必要な事項について条例、規則等を制定し、議会運営の仕組みを体系的に整備しなければならない。

2 議会は、議会運営がこの条例の目的、原則等に即して行われているかどうかを不断に点検し、必要があると認める場合は、この条例の改正その他必要な措置を講じなければならない。

附 則

この条例は、平成19年4月1日から施行する。

附 則(平成20年9月17日条例第19号)

この条例は、公布の日から施行する。

附 則(平成23年3月4日条例第8号)

この条例は、公布の日から施行する。

附 則(平成23年9月15日条例第21号)

この条例は、公布の日から施行する。